TSのつぶやき

身の回りの英語の疑問や考察を綴っています

英語閑話 – 6 (肉と魚)

言葉と文化は密接に結びついています。その文化において、古来より身近にある物や、よく使う物には、その文化の言葉の中に必ずそれを一語で表す単語が存在します。

 

例えば食文化の中の「肉」”Meat”(ミート)で言えば、昔から肉をよく食す欧米人の使う英語には、種類の異なる肉を一語で表す単語がたくさんありますが、仏教の影響で千年以上、肉食が禁忌だった日本人が話す日本語には、肉の種類を一語で表す言葉はありません。肉の種類を表現するには「…肉」と2つの単語を組み合わせなければなりません。

Beef (ビーフ) → 牛肉

Pork (ポーク) → 豚肉

Chicken (チキン) → 鶏肉

Lamb (ラム)、Mutton (マトン) → 羊肉

Venison (ベナスン) → 鹿肉

「肉」”Meat”(ミート)

 

反対に、あまり「魚」を食べる習慣がなかった欧米では、魚の種類を一語で表す単語が日本語に比べて少なく、”-fish” (フィッシュ)と語尾に「魚」を意味する単語を付けて魚の種類を表現する言葉が多く見受けられます。

カジキ → Sword-fish (ソードフィッシュ):

「剣」”Sword”の魚 (上顎が剣のように長く鋭く伸びているから?)

ナマズ → Cat-fish (キャットフィッシュ):

「猫」”Cat”の魚 (長い口ヒゲが猫のそれに似ている?)

クラゲ → Jelly-fish (ジェリフィッシュ):

「ゼリー状」”Jelly”の魚 (ふわふわと泳ぐ姿がゼリーのよう?)

フグ → Blow-fish (ブローフィッシュ):

「(息の)ひと吹き」”Blow”の魚 (威嚇のためプッと体を膨らませるから?)

アンコウ → Monk-fish (モンクフィッシュ):

「修道僧」”Monk”の魚 (頭巾を被った修道僧(Monk)に似ているから?)

「魚」”Fish”(フィッシュ)